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横浜地方裁判所 昭和41年(わ)1307号 判決 1967年4月19日

本店

神奈川県川崎市有馬字東耕地二、八〇一番地の三

理研電子

株式会社

右代表取締役

安永宗一郎

安永宗明

本籍並びに住居

東京都大田区田園調布四丁目二八番地の四

会社社長

安永宗一郎

昭和五年五月三日生

右の者に対する法人税法違反被告事件について当裁判所は検察官岡本精一出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人安永宗一郎を懲役六月に、被告人理研電子株式

会社を罰金五〇〇万円にそれぞれ処する。

但し本裁判確定の日から二年間右被告人安永宗一郎に

対する懲役刑の執行はこれを猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人理研電子株式会社は、川崎市有馬字東耕地二、八〇一番地の三に本店を置いて、計量器、計測器、記録器、測定装置、その他の計器等の製作販売等を営業目的とする資本金一、五六〇万円の会社であり、被告人安永宗一郎は、右被告人会社の代表取締役として同会社の業務全般を統治管理しているものであるが、被告人安永宗一郎は右会社の業務に関し法人税を免れようと考え、

第一、昭和三九年二月二九日、川崎市榎町二八番地所轄川崎税務署において、同税務署長に対し、被告人会社の昭和三八年一月一日より同年一二月三一日までの事業年度における実際所得金額は四二、一六三、〇六一円でこれに対する法人税額は一五、四一四、〇三〇円であつたのに、売上を除外しあるいは架控仕入を計上する等の不正な方法でその所得の一部を秘匿したうえ、右事業年度の所得金額は九、〇七〇、二六四円でこれに対する法人税額は二、八四七、七三〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出して、もつて右被告人会社の右事業年度の法人税額一五、四一四、〇三〇円と右申告税額との差額一二、五六六、三〇〇円の法人税を免れ

第二、昭和四〇年三月一日、同市溝口字南耕地四〇六番地所轄川崎北税務署において、同税務署長に対し、被告人会社の昭和三九年一月一日より同年一二月三一日までの事業年度における実際所得金額は三五、七一三、四一四円でこれに対する法人税額は一三、〇八六、七四〇円であつたのに、前記同様の不正な方法でその所得の一部を秘匿したうえ、右事業年度の所得金額は八、八七七、七四三円でこれに対する法人税額は二、八九六、六六〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出して、もつて前記被告人会社の右事業年度の法人税額一三、〇八六、七四〇円と右申告税額との差額一〇、一九〇、〇八〇円の法人税を免れ

たものである。

(証拠)

全部の事実につき

一、被告人安永宗一郎の当公判廷における供述

一、被告人安永宗一郎の大蔵事務官に対する各質問てん末書及び検察官に対する各供述調書

一、被告人安永宗一郎作成の昭和四一年六月一八日付上申書(但し記録番号62と記載のもの)及び定款、営業経歴書、会社機構及び事務分掌、株主名簿、と各題する各書面

一、安永宗明、青木純平の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、干根和子、荒井美法の大蔵事務官に対する各質問てん末書及び検察官に対する各供述調書

一、野本和雄、粕谷昇、秋吉卓朗、安藤勇、渡辺孝一、相原和三郎、杉井永重(昭和四一年五月九日付)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、荒木一雄、佐渡弥一、秋吉卓朗、江藤哲太郎、松浦広規、梅岡洋、星春見、野本和雄、田島忠男、米岡嘉男、高島一郎、各作成の各上申書(但し荒木一雄、梅岡洋、星春見、田島忠男に関する部分を除く各上申書についてはそれぞれ末尾添付の各明細書を含む)

一、能野勝一作成の供述書(末尾添付の明細書を含む)

一、田中修平(昭和四一年七月一四日付)、富樫善次(昭和四一年七月一六日付、但し第三回公利調書記載証拠取調順序番号16、朝江清、辻悛郎(昭和四一年七月一三日付、但し同順序番号29、31)、三菱銀行自由ケ丘支店長(昭和四一年八月三日付、但し同順序番号34)、岡田孝三(昭和四一年七月三〇日付、但し発三一六号、三二〇号、三一五号、七七七号と記載あるもの)各作成の証明書と題する書面(いずれも末尾添付の帳簿写を含む)

一、志智金弥、藤本和延、荒木一雄、水田基成、石井栄一、中島晃一、中川元国、江藤哲太郎、里春見各作成の取引内容照合に対する回答と題する書面(いずれも末尾添付の明細書を含む)

一、大蔵事務官松田勝春作成の銀行調査書と題する書面、及び法人税課税資料と題する書面

一、検察事務官上田蔵作成の電話領収書

一、登記官橋口大太郎作成の閉鎖登記簿謄本

一、登記官藤田基兄作成の閉鎖登記簿謄本及び登記簿謄本

一、押収してある領収書控(昭和四二年押第一六号の七)一問題一の事実につき

一、被告人安永宗一郎作成の昭和四一年六月一八日付各上申書(但し記録番号58、60と記載のもの)

一、沢入八寿子の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、富樫善次(昭和四一年七月一四日付、但し第三回公判調書記載証拠調順序番号17、18、21)、代居操(同順序番号23、24)、辻悛郎(同年七月一三日付、但し同順序番号30)、小島博三郎、三菱銀行自由ケ丘支店長(同年八月三日付、但し同順序番号33)、鈴木俊司(同年七月二九日付、但し記録番号一四二)各作成の各証明書と題する書面(いずれも末尾添付の元帳写を含む)

一、鈴木俊司の昭和四一年七月二九日付貸付信託規約証明書と題する書面(但し第三回公判調書記載証拠調順序番号38)

一、永沢邦男、中央大学相度課、ヂノビオウエザーナ、斉藤調顛、高田挙治、松井恵継、岡本舛三、今村孝各作成の取引内容照会に対する回答と題する各書面(いずれも末尾添付の明細書を含む)

一、牛馬久直、高山英治、杉山秀夫、早坂男造、香川幸悟、高島一郎、西郷之厚各作成の各上申書(但し高山英治、高島一郎、西郷之厚に関する上申書についてはいずれも末尾添付の明細書を含む)

一、佐賀島津商事有限会社河井作成押印の照会回答書

一、日本測器株式会社総務部作成名義の能野押印の東京電話リベートの件と題する回答書

一、大蔵事務官松田勝春各作成の脱税額計算書(但し記録番号148と記載あるもの)、増差所得の内訳(但し記録番号149と記載あるもの)と各題する各書面

一、押収してある昭和三八年度法人税確定申告書(昭和四二年押第一六号の1)、昭和三八年分総勘定元帳(同押号の9)

第二の事実につき

一、被告人安永宗一郎作成の昭和四一年六月一八日付各上申書(但し記録番号五九、六一)

一、泉渥、千磯和子各作成の各上申書

一、石井真一作成の理研電子株式会社代表取締役安永宗一郎氏依頼による小切手現金化についてと題する書面

一、田中修平(但し昭和四一年一二月八日付、第三回公判調書記載証拠調順序番号14)、富樫善次(同年七月一四日付、但し同順序番号15、20)、佐久間肇、三菱銀行自由ケ丘支店長(同年八月三日付、但し同順序番号35、36)、岡田孝三(但し同年七月三〇日付、発三一七、発三一八、発三二五と記載のもの)各作成の証明書と題する各書明

一、鈴木俊司作成の昭和四一年七月二九日付貸付信託残高証明と題する書面(但し第三回公判調書記載証拠調順序番号39)

一、中村和則、山本貞良、堀川敬治、山本和一、風戸健二、石川忠造各作成の取引内容照会に対する回答と題する各書間(いずれも末尾添付の明細書を含む)

一、山本貞長作成の各報告書

一、大蔵事務官松田静春各作成の脱税額計算書(記録番号150と記載のもの)、増差所得の内訳(記録番号151と記載のもの)と各題する各書面

一、押収してある昭和三九年度法人税確定申告書(昭和四二年押第一六号の2)、昭和三九年分売上経費帳(同押号の10)、昭和三九年仕入帳(同押号の3)、金銭出納帳(同押号4)、納品書(同押号の5)、納品書(同押号の6)、領収証控(同押号の8)各一冊

(法令の違用)

法人税法第四八条第一項(被告人安永宗一郎に対する第一、第二の各罪につき、但し所定刑中懲役刑を選択する)、同法第五一条第一項(被告人理研電子株式会社に対する第一、第二の各罪につき)、昭和四〇年法第三四号同法第一九項、刑法第四五条前段、第四七条本文、第一〇条(以上併合罪につき被告人安永宗一郎に対し情重い第一の罪につき併合加重する)、同法第四五条前段、第四八条第二項(右被告人会社に対する刑につき件合加重する)。刑審訴訟法第一八一条第一項但し書き。

(裁判官 藤枝忠了)

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